このブログは、2026年9月10日に更新しました

「9月の旬の野菜を聞いたら、全然違う野菜を教えられた」
「新刊の発売日を聞いたら、公式の情報とは異なっていた」
ChatGPTを使っていて、このように不信に思ったことはありませんか?
文章だけ読むと、とても自然な会話型AI。思わず「なるほど!」と納得してしまいそうになりますが、情報を鵜呑みにしてしまうのは、少しばかり危険です。
今回は、ChatGPTがなぜ「嘘のような間違った情報」を作り出してしまうことがあるのか、そのカラクリと、利用するときに気を付けたいポイントを解説します。
このシリーズでは、パソコンやスマートフォンを触っていると毎日のように見聞きするけれど、いざ説明しようとすると難しい。そんなデジタル用語の解説ブログです。
第1回、第2回の内容はこちら
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今回ご紹介する内容をもっと簡単に確認したい方へ、YouTube動画の公開も予定しています。
この記事でわかること
・ハルシネーションとはなにか
・AIは「嘘」をついているのか
・AIが知らないことまで答えてしまう理由
・技術の進化でハルシネーションはなくなるのか?
・ハルシネーションへの対策
ChatGPTが嘘をつくカラクリ
ChatGPTを始めとした、会話型のAIに質問をすると、とても自然な文章を返してくるようになりました。あまりに自然な文章が返ってくるため、人間の意図を汲み取り、信ぴょう性の高い情報を探してきて、内容に沿って答えを生成してくれているもの、と感じられるかもしれません。
あらかじめ断っておきますが、ChatGPTの回答は、必ず生成されるための根拠を確認して、作られているわけではありません。
こんなに丁寧な文章を作っているのに?と思われるかもしれませんが、ChatGPTが作りだした文章が自然であることと、内容が事実であることは、イコールではありません。この点が、ChatGPTが文章を生成する上での仕組みを理解する、大きなポイントです。
ハルシネーションとは
一見もっともらしいが、事実ではない情報をAIが作り出してしまうことを、ハルシネーションと呼んでいます。英語で「Hallucination」と書くこの言葉、本来は「幻想」「幻覚」などの意味を含んでいます。
実際にどのように情報を生成するのか、見てみましょう。
例えばChatGPTに「ニコットくんの大冒険、という漫画について教えて」と聞いたとします。
もちろん、そんな漫画は刊行されていませんが、例えその本についての十分な情報がなかったとしても、生成AIは、著者名や発売日、内容、出版社などを組み合わせ、漫画らしい説明を生成してしまうのです。
興味をそそられて調べてみると、何ひとつ情報を得られない。
これがハルシネーションの一例です。
例示したのは分かりやすいものでしたが、他にも
・存在しないウェブサイトやURLを紹介する
・実在しない論文や研究を引用する
・人物の経歴を取り間違える
・日付や数字を間違える
・地域の情報をもっともらしく作ってしまう
・実在する情報と実在しない情報を混ぜてしまう
などなど、ハルシネーションが現れる形はそれぞれです。誤字だらけだった、怪しい情報だ、などがひと目で分かれば良いのですが、なかなか分かり辛いのが現状です。
実際に生成させた『ニコットくんの大冒険』あらすじ
この漫画は完全に架空の物語。しかしChatGPTの手に掛かれば、このように存在しない物語を作ることもできてしまいます。
創作意欲を掻き立てるには十分かもしれませんが、これが本物の作品だよ、と教えられると、信じてしまうかもしれませんね。

※『ニコットくんの大冒険』は、この記事を作成するにあたり意図的に作り出した架空の物語です。
AIは嘘をついているのか
人間が意図的につく「嘘」のように、AIも意識的に「嘘」を作り出しているのかというと、実際にはそうではありません。
人間がつく嘘には、「本当は事実と異なるが、相手には別のことを教えよう」という、善悪問わず意図があることがほとんど。一方、ChatGPTが事実とは異なる回答を作り出したからといって、「間違っていることが分かっているのに、人間を騙すために嘘を混ぜた」と考えるのは適切ではありません。
ChatGPTのような生成AIは、人間のような意思を持ち、私たちを困らせるために嘘をついているわけではないからです。
では、どうしてこのように、一見嘘だと思えるような文章を作り出してしまうのでしょうか。
このような仕組みになっている理由には、これまでのブログでご紹介してきた、LLMが関係しています。
知らないことまで答えてしまう理由
ここで、思い出してみましょう。
ChatGPTが得意としているもののひとつに、「文脈に合った自然な文章をつくりだす」ということをご紹介しました。以前の記事でご紹介した、LLM(大規模言語モデル)ですね。
これまでお話してきた通り、LLMは、沢山の文章の作りを学習する中で、言葉の使われ方やパターンを学び、文脈に応じて続く言葉を予測しながら、文章を作っています。
人間は、分からないことを「分かりません」と素直に言葉にすることができます。しかしLLMは、大量のテキストから次の言葉を予測する学習をしているため、十分な手掛かりがない質問でも、文脈からもっともらしい続きを生成してしまうことがあるのです。その文章が事実と一致することもあれば、事実と異なっていることもあります。つまり、文章として自然であることと、事実として正確であることは別なのです。
「分かりません」と言えないのはなぜ?
現代人の感覚でいえば、そう思いますよね。しかし実は、「分からないことを分からないと答える」ということは、AIにとっても重要な課題です。
人間に置き換えて、その重要性を考えてみましょう。
テストで分からない問題が出たとき、「分かりません」と答えたAさんと、「多分これだ」と推測して答えたBさんがいたとします。Aさんはこの問題で点数を取ることはできませんが、Bさんは推測であっても、偶然正解すれば点数を取ることができるのです。このように、評価方法によっては、「分かりません」と答えるよりも、推測して何かを答えた方が有利になってしまうことがあります。
こうした評価方法は、ハルシネーションがなくなりにくい理由の一つだと考えられています。そのため現在では、正しい答えを出すことだけでなく、「分からないことを、分からないと判断すること」も大切だと考えられています。しかしこの判断をさせるのは、思いのほか難しいのです。
より詳しく知りたい方や、OpenAIが公開しているハルシネーションの研究については、こちらからご確認ください。なかなか面白い報告を見ることができますよ。
https://openai.com/ja-JP/index/why-language-models-hallucinate/
ChatGPTが進化すれば、ハルシネーションはなくなるのか?
AIの性能向上によって改善されているとはいえ、現在も、ハルシネーションが完全になくなっているわけではありません。
現在のChatGPTには、Web検索機能も備わっています。外部の情報を確認しながら回答すことができますが、Webで検索したからといって、その回答が絶対的に正しいとは言い切れません。
参照した情報が古かった、情報を読み違えた、複数の情報をまとめる過程で誤りが生じる、などなど、正しさを導き出すためには、いくつも乗り越えないといけないハードルがあるのです。
人間が情報を集めて整理するときに間違えることがあるように、Web検索を利用したAIの回答にも、誤りが含まれる可能性があります。
そのため、「最新のChatGPTなら絶対に間違えない」とは考えない方が良いでしょう。
また、「有料プランを利用しているから、回答も正しいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、有料プランを利用しているからといって、回答が必ず正しくなるわけでもありません。
日付や金額、制度、医療、法律など、間違った場合の影響が大きい情報については、ChatGPTの回答だけで判断せず、公式サイトや公的機関などの信頼できる情報源まで確認することが大切です。
ハルシネーションにはどう対策すると良いの?
ここまで、ChatGPTを例に、ハルシネーションについて見てきました。
もっともらしい嘘を生成する、という特徴に、「それなら使わない方がいいのでは」と思ってしまった方もいるかもしれません。
大切なのは、ChatGPTが間違える可能性がある、ということを知ったうえで、情報の重要度に合わせて確認を行うことです。
ハルシネーションを完全になくすことは難しいかもしれませんが、人間の使い方によっては、間違った情報をそのまま信じてしまうというリスクを減らすことができます。
重要な情報は一次情報まで確認する
ChatGPTに様々な質問をするうえで大事な考え方です。
おおよその情報を知るだけなら便利ですが、より確かな情報を得るには、その情報を最初に発信したところ(一次情報)まで確認するのがいちばんです。
特に、
・日付や金額
・商品の発売日や仕様
・行政の制度や手続き
・医療や健康に関する情報
・法律や税金に関する情報
・仕事上の重要な判断に使用する情報
など、間違えると困るものは、きちんと確認しましょう。
ChatGPTを「答えそのもの」とするのではなく、調べるための入口として利用すると考えると分かりやすいかもしれませんね。
分からない情報は推測しないように伝える
ハルシネーションの仕組みを知った今なら、ChatGPTにあらかじめお願いをすることもできます。
「確認できない情報は推測せず、分からない場合は『分かりません』と答えてください」
このような条件を付けて質問をする、という方法です。質問する人間が、ChatGPTから情報を上手に引き出せるように指示をしましょう。
ただし、このように指示を出したからといっても、完全に防げるわけではないことにも注意してください。
事実と推測を分けてもらう
これも、人間が質問する際に指示する方法です。
「その情報の根拠を教えてください」
「確認できた事実と、推測している部分を分けてください」
「どの情報源を参考にしたのか教えてください」
このように、聞いてみましょう。回答だけを見るのではなく、なぜその回答になったのかを確認することで、情報を判断するための材料を増やすことができます。
ただし、ChatGPTが紹介したWebサイトや書籍、論文などが、必ず実在するとは限りません。存在しない論文を、著者名や発表年まで含めて、もっともらしく紹介してしまうこともハルシネーションの一例ですので、出典が本当に実在するのか、というところまで、確認するようにしましょう。
よくある質問
Q.ハルシネーションとはなんですか?
A.ハルシネーションとは、AIが事実とは異なる情報を、もっともらしく生成してしまう現象です。
存在しない人物や書籍、Webサイト、論文などを実在するかのように説明したり、日付や数字を間違えたりすることがあります。
文章そのものは自然な場合も多いため、間違いに気付きにくい点には注意が必要です。
Q. ChatGPTはわざと嘘をついているのですか?
A.人間が相手を騙すためにつく「嘘」とは異なります。
ChatGPTのような生成AIが、人間を騙そうという意思を持って、意図的に間違った情報を混ぜているわけではありません。
LLMが文脈に応じて文章を生成する仕組みなどによって、結果として事実とは異なる回答が生成されることがあります。
Q.Web検索を使えばハルシネーションはなくなりますか?
A.Web検索を利用しても、ハルシネーションを完全に防げるわけではありません。
Web上の情報を確認することで最新情報などを回答しやすくなりますが、参照した情報が古かったり、内容を読み違えたり、複数の情報をまとめる過程で誤りが生じたりする可能性もあります。
重要な情報については、ChatGPTの回答だけでなく、公式サイトや公的機関などの情報源も確認しましょう。
Q.有料版のChatGPTならハルシネーションは起こりませんか?
A.有料プランを利用していても、ハルシネーションがなくなるわけではありません。
どのようなプランを利用していても、日付や金額、制度など、間違えると困る情報は確認することが大切です。
Q.ハルシネーションを完全に防ぐ方法はありますか?
A.現在のところ、ハルシネーションを完全に防ぐことは難しいと考えた方がよいでしょう。ただし、
「確認できない情報は推測しないでください」
「事実と推測を分けてください」
「公式情報を確認して回答してください」
など、質問の仕方を工夫することで、より慎重な回答を求めることはできます。それでも重要な情報は、一次情報まで確認するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
ChatGPTは、私たち人間のように善悪で回答を生成しているわけではありません。賢く活用するためにも、情報が正しいものなのかを、最後は人間が確認する、という意識を持つと良いですね。
このブログの内容をもっと分かりやすく解説している、YouTube動画も公開中です。合わせてご覧くださいね。
また、このブログだけでは紹介しきれなかった、ChatGPTのもうひとつの特徴も近日公開予定です。お楽しみに。
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