ログインと認証は何が違う?意外と知らない認証の仕組み

「ログインしてください」
「認証してください」

パソコンやスマートフォンを利用していると、このような表示を見かけることがあります。

Googleやネットショッピング、インターネットバンキング、SNSなど、多くのサービスで当たり前のように行われている「ログイン」と「認証」。どちらも情報セキュリティに関係する言葉ですが、この2つの違いをご存じですか?

日常的には似た意味で使われることもありますが、厳密には役割が異なります。

この記事では、「ログイン」と「認証」の意味や関係について、分かりやすく解説します。


1. ログインとは何か

ログインとは、登録されているアカウントを使って、サービスの利用を開始するための一連の手続きのことをさします。

ネットショッピングの利用を例に、ログインについて見ていきましょう。

Amazonや楽天などの通販サイトでは、店頭と同じように、取り扱っている商品を探したり、閲覧したり、商品情報を確認することができますね。気に入った商品は、サイトの指示に従い、購入することもできます。

1回きりであれば必要のないものかもしれませんが、同じサイトで何度も商品を購入するようになると、住所を都度入力したり、支払情報を何度も登録したりするのが、だんだん煩わしくなってきます。

そこで、情報を予め登録しておくことで、いつものサイトでのお買い物を、もっとスムーズに行うことができるようになります。このように、予め必要な情報を登録し、サイトを利用するための自分専用の居場所を作ることを、アカウントを作成する、と表現します。

アカウントを作成すると、利用しているサイトが、これまで入力が煩わしいと思っていた配送先の住所や、支払い情報を保管してくれるようになります。さらに、これまで購入した商品の履歴を残したり、ポイントを加算してくれるようになります。これら情報は、アカウントを作成した本人だけのものです。

アカウントは、そのサービスを利用したい人が、同じように登録をして、作成しています。
サービスは、アカウント情報を数多く管理しています。そのため、利用者側が、「どのアカウントを使うのか」「そのアカウントは本当に本人のものか」を提示する必要があるのです。提示された情報が正しいものかを確認し、サービス側は、アカウントの利用を許可します。

このように、利用者側が、サービスの利用を申し出て、本人確認を行い、アカウントを利用できる状態にする一連の手続きが、「ログイン」です。

ログインに必要な2つのステップ

ログインには、2つのステップがあります。

最初のステップでは、利用者が、どのアカウントを利用するのかをサービスへ伝えます。
必要な情報は、アカウントに登録されている情報により異なりますが、一般的には、

・メールアドレス
・ユーザー名
・会員番号
・電話番号

などを入力し、サービスに登録されている多くのアカウントの中から、どのアカウントを利用するかを提示します。

次のステップでは、利用者によって提示されたアカウントが、本当に本人のものであるかを確認します。サービス側で確認が完了すると、提示したアカウントを使って、サービスが利用できるようになります。


2. 認証とは何か

認証とは、提示されたアカウントが、正しい利用者によって提示されたものであることを確認する処理です。

引き続き、ネットショッピングの利用を例に、認証について見ていきます。

通販サイトの利用者は、アカウントを作成する際、本人であることを確認するための情報も一緒に登録します。例えば、

・パスワード
・連携した認証アプリの情報
・指紋情報
・顔

などです。ログインする際には、これらの情報の提示を追加で求められます。

ところで、この「認証」という用語は、実は利用者側が行うものではなく、サービス側が行う処理をさします。厳密にいえば、利用者が提示した認証に必要な情報をもとに、サービス側が照合・判定を行う処理のことです。

例えば、利用者が入力したパスワードと、予め登録されているパスワードを照合したり、提示された指紋や顔の情報が登録されているものと一致するかを判定したりします。その結果、正しい利用者であると判断されれば、認証は成功します。

つまり認証とは、利用者がログインを行う過程で、サービス側が本人確認のために行う照合・判定の処理なのです。

 

認証に近い身近な例“自宅の解錠”

認証という処理を身近な例でイメージするなら、自宅の解錠が近いかもしれません。
仕事や学校から帰宅し、玄関の前で、「私はこの家の住人です」と言っただけでは、当然、ドアは開きませんよね。

笑ってしまうほど当たり前のことですが、家に入るためには、鍵を鍵穴に差し込み、解錠する必要があります。このとき、住人は「鍵」を提示しています。一方、ドアの鍵穴は、その鍵の形が合っているかを確認しています。正しい鍵であればドアが開き、家に入ることができます。

この仕組みをインターネット上の手続きに置き換えると、鍵を提示することが利用者側の操作、鍵が合っているかを確かめることがサービス側の認証にあたります。

もちろんこれはイメージですので、鍵の解錠が認証だ、というわけではないことに留意してください。


3.ログインと認証の違い

ここまでの内容を、分かりやすく表にまとめてみました。
それぞれの用語と、その役割について確認しましょう。

ログイン 認証
意味 アカウントを使ってサービスの利用を
開始する一連の手続き
アカウントの正しい利用者かを
確認する処理
主体 利用者 サービス側
主体が行うこと 必要な情報を提示する
(アカウント情報、認証する情報)
提示された情報を
登録情報などと照合、判定する
イメージ 「このアカウントを使ってサービスを利用したいです」と申し出る 「提示された情報を確認した結果、正しい利用者です」と判定・照合する
身近な例 会員としてサービスを利用するまでの手続き全体 会員証や本人確認書類を確認する処理

表にまとめて比較をすると、それぞれの用語がどのような意味を示しているのか、分かりやすくなりますね。

ログインと認証は、本来別の意味を持つ用語ですが、認証はログインの一連の手続きの中で行われるため、日常会話では同じ意味のように扱われることも少なくありません。

また、表内では、ログインの主体は利用者、認証の主体はサービスと整理していますが、認証は利用者が情報を提示し、サービス側がその情報を照合・判定することで成立します。
そのため、ログインは認証を含む一連の手続きとして捉えると、両者の関係を整理して理解しやすくなるでしょう。


4.なぜ本人確認が必要なのか

では、なぜサービスを利用するのに、本人確認を行う必要があるのでしょうか。
そこには、インターネットという特殊な環境と、情報を活用するための工夫が関係しています。

まずは、現実世界を例にイメージしましょう。

銀行の窓口で手続きを行う場合、窓口の担当者は、利用者の顔を見ながら、免許証やマイナンバーカードを確認し、目視で本人かどうかを確認することができます。目視確認ができるため、比較的スムーズに窓口で対応してもらうことができます。

しかし、インターネットでは相手の顔や様子を直接確認することができません。利用者からサービスの担当者の姿が見えないように、サービス側からも利用者の姿は見えません。このような環境の中で本人確認を行うためには、一定の工夫が必要です。

サービス側が唯一確認できるのは、画面の向こう側にいると思われる利用者が提示する、情報だけです。そのため、提示された情報が、本当に正しい利用者のものなのかを確認する、という仕組みが必要なのです。

本人確認を行わない場合、予め作成されているアカウントが、正しい利用者以外に自由に利用されてしまう、という危険が生じます。登録されている情報を悪用されたり、不正に利用されたりすることで、利用者が意図しない被害につながる可能性があります。

サービスを正しく利用している人たちがこうした被害に遭うことを防ぐため、サービス側では、さまざまな方法を組み合わせて、本人確認を行っています。

例えば、

・パスワードを入力する
・スマートフォンに届く確認コードを入力する
・認証アプリに表示された番号を入力する
・指紋や顔で本人確認を行う

といった方法があります。

以前はパスワードを入力するだけで認証が成立する、という方法が主流でした。しかし近年は不正アクセスの手口が巧妙になり、パスワードだけで十分、とは言えなくなってきています。
そのため、複数の方法を組み合わせて本人確認を行うサービスが増えている、というのが現状です。

ログイン時に「確認コードを入力してください」や「スマートフォンで承認してください」と表示される機会が増えたのは、このような背景があります。

手間が増えたな、と感じるかもしれませんが、そのひと手間が、大切な個人情報や資産を守ることにつながっていると捉えましょう。


まとめ

今回は、「ログイン」と「認証」の違いについて解説しました。

普段は同じような意味で使われることもありますが、それぞれには次のような役割があります。

・ログインは、アカウントを使ってサービスを利用するための一連の手続き
・認証は、その途中でサービス側が本人かどうかを確認する処理

つまり、ログインは認証を含む一連の手続きであり、その中でサービス側が認証を行っている、と考えると理解しやすいでしょう。

インターネットでは相手の顔を見ることができません。そのため、サービス側はパスワードや確認コード、認証アプリ、生体認証などを利用して、「本当に本人なのか」を確認しています。

こうした仕組みを知ることで、普段何気なく表示される「ログインしてください」「認証してください」というメッセージの意味も、より深く理解できるようになります。

次回は、「認証にはどんな種類があるの?」をテーマに、パスワード・スマートフォン・指紋や顔認証など、それぞれの認証方法について分かりやすくご紹介します。

今回の記事とあわせて読むことで、現在の情報セキュリティがどのような仕組みで私たちを守っているのか、より理解が深まるでしょう。


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