花が咲く ― 授業の合間にいただいた、とっておき ―

2609エッセイ

花が咲く。

これは何も、季節の移ろいを詠んだものではありません。
残暑の厳しい毎日。日中の涼しい教室で咲いた、生徒さんとのお話です。

 

 

当たり前のことですが、我々スタッフは、教室の中では「先生」です。

WordやExcelの使い方はもちろん、仕事に役立つテクニックや、スマートフォンの操作説明、時には、レイアウトやデザインなどの相談事にも応じます。

デジタル機器のことならお任せあれ。

しかし、教室に通っていただいている生徒さんの多くは、人生の先輩です。

長く仕事をされてきた方。
家族を支えてこられた方。
子育てを終えられた方。
趣味を何十年も続けている方。

それぞれが、私たちの知らないこと、経験していないことをご存知なのです。

そんな生徒さんとの、授業合間のちょっとした談笑は、いつの間にやら、先生と生徒の関係を入れ替えてしまうことがあります。

 

 

 

先日、ある生徒さんから、美味しいパスタの作り方を教えていただきました。

きっかけは、教室の授業の中で使用している、海鮮丼の写真。

時刻は15時過ぎ。美味しそうな写真だな、そろそろお腹がすいたな、晩御飯はどうしようかな。そんな話をしていたところでした。

「この間、美味しいパスタを作ったんです。鯖缶で!」

にっこりと笑って教えてくれた内容は、和風のパスタソースに、鯖の水煮缶を加える、というもの。

「タンパク質を取るなら、鯖缶が一番おススメ」

そう教えていただきました。

和風ソースは特別なものでなくても良いそうで、おいしそうなソースを見つければ良い、とのこと。

水煮缶の中にある汁を、少しだけ加えるのがポイントなのだと教えていただきました。

なるほどなぁ。

その日の帰りに買い物を行い、実際に自宅で作ってみました。

それが、とても美味しかったのです。

和風ソースだからと、ついでにきのこと玉ねぎを炒め、加えたのも、ビンゴでした。

教えていただいたレシピに少々手を加えましたが、生のサバを買ってきて、捌いて仕込むよりもずっと簡単です。

「これは良いことを教えてもらったなぁ」

すっかり我が家のレシピの仲間入りを果たしたのでした。

 

 

こんなことが、よくあります。

パソコンの授業の傍らで、美味しいレシピを教わり、野菜の育て方と教わり、昔の地域の話や、旅行先での出来事などを教わります。

私たちの知らない世界が、生徒さんとの会話から、次々と出てくるのです。

もちろん、授業中ずっと、お喋りをしているというわけではありませんん。

印刷を待っている時間、課題が一区切りついたとき。

そんな何気ない時間から、ふっと話が広がるのです。

そんな時間が、とても楽しいですね。

何かを教える仕事をしていると、「先生は知っている人、生徒は教わる人」そんな関係ばかりに目がいくでしょう。

しかし、実際の教室は、そんなに一方通行ではないのです。

パソコンに関しては、我々が先生。
料理については、生徒さんが先生。
別の話になれば、また違う生徒さんが先生になる。

そう考えると、教室には随分と、たくさんの先生がいるものです。

我々は、今日もパソコンの授業をしながら、何かの話に花を咲かせ、何かを教わるのです。こんな時間が、とても心地よいものです。

 

 

さて、美味しい鯖缶パスタは調理済み。

実はこの日、手軽にサムゲタンを作るコツも教えてもらっています。

鍋ひとつでできる、温かな料理。
材料は、スマホで調べたレシピを参考に、鍋に入れて煮込むだけ。
ただし、灰汁はしっかりと取ること。
香り付けはごま油。

今度の授業で、生徒さんへご報告をしなければなりませんね。

「先生、ちゃんと作った?」

なんて聞かれる前に、上手に作れた写真を添えて。

2609エッセイ_本当に作ったパスタ

<エッセイ>

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