
浪漫を求めて
宇宙は浪漫の塊です。
昔から、宇宙を舞台にしたアニメや漫画が好きでした。宇宙をテーマにしているテレビ番組があれば、録画して何度も見返していました。とある漫画の影響で、宇宙飛行士に憧れていた時期もありました。好きな俳優が出演したドラマの影響で、ロケット開発事業に興味を惹かれた時期もありました。どれも実現することはありませんでしたが、今でも宇宙に対する想いは変わっていません。
人類が誕生して数十万年。私たち人類は常に宇宙を見上げて生きていますが、その大部分が未知のまま。宇宙の外側に何があるのか、そもそも宇宙に果てはあるのか、いつか解明される日が来るのでしょうか。想像するだけでワクワクします。

地球の衛星、月

兎にも角にも、謎に満ちた宇宙ですが、その中で私たちの生活に身近なものといえば、地球唯一の衛星、月です。
暗い夜を優しく照らしてくれる月。満月の日には、夜道の輪郭が見えるほどの光を地上に届けてくれます。私の名前には月をイメージした漢字が含まれていることもあり、個人的に特別な星でもありました。
2026年現在、人類は再び月面を目指しています。アポロ11号の時のような感動を、今度はリアルタイムで味わうことができるのかと思うと楽しみで仕方がありません。

月への移住計画
あくまでも都市伝説的な話ではありますが、近い将来地球の環境が荒れ果てて人類が住めない星になってしまった場合に備えて、月への移住計画が水面下で始まっているのだとか。もしもその計画が実現した場合、月面での生活は地球での生活と比べてどのような違いがあるのでしょうか。
重力は約6分の1、大気はほとんどなく、昼夜の気温差は地球の常識では考えられないほど極端です。おそらくシェルターのような閉じられた空間で過ごすことになるのでしょうが、散歩好きな私にとってはちょっぴり窮屈かもしれません。気軽に月面を歩ける一般市民用の宇宙服の開発を待ちわびるばかりです。
とまぁ、ここまで夢物語のようなお話ですが、実際問題この先の未来で何が起きるかは誰にも分かりません。実はすでに月面移住計画はほとんど完成していて、こうしている間にも少しずつ地球から月面へ人が送られているのかもしれません。
我々の預かり知らぬところで、月面での暮らしがすでに始まっている可能性もあります。
そこまで考えたところで、一つ懸念点が浮上します。
月には法律がありません。当然警察も存在しません。もしも私が所有している土地を、私の了承を得ずに利用されてしまった場合、どこに訴えればいいのでしょうか。
私は、月面に土地を持っているのです。

気軽に買える月の土地

遡ること数年前。友人から教えてもらったサイトで販売していたのが、月の土地でした。面積にして1エーカー。初めて聞く単位でしたが、調べてみるとサッカーコートくらいの広さとのこと。
これは”買い”だと思いました。
大元は海外の企業らしいですが、日本人向けの専用サイトがあるため購入までの手続きは滞りなく完了しました。私が購入したのは、最も安い月の土地の権利書のみのセットです。他にもカード付きであったり、ファイル仕様であったりと、複数の選択肢から選べました。
2026年現在も月の土地の購入を受け付けているみたいですので、興味のある方はぜひ覗いてみてくださいね。ただし購入は自己責任でお願いいたします。サイトの注意事項をちゃんとお読みいただき、ご納得の上で購入することをオススメいたします。
かくして購入した月の土地。それから数週間後、オレンジとグレーの大きな封筒が届きました。その中に入っていたのが、月の土地の権利書です。とてもカッコいいデザインでテンションが上がったのですが、すべて英語で書かれているため、スマートフォンで撮影しながら必死に解読しました。
権利書には購入者である私の名前も記載されていて、月のどの位置の土地を購入したのかが分かるマップも添付していました。
こうして、私は月の土地のオーナーとなったのです。

意味のない買い物
もちろん、法的効力はありません。その旨についてはサイト内に注意事項として記載されています。月の土地の権利については様々な解釈があり、販売元も将来的な権利を主張しています。しかし、少なくとも現時点では、この権利書によって月の土地の所有権が法的に保証されるわけではないようです。
つまり、購入した月の土地は私のものであって私のものではないのです。実際には誰のものでもない場所を、私の場所だと思い込むことができる権利を手にしただけにすぎません。勝手に土地を利用されたからといって、どこそこに訴えることなどできるはずもありません。
そもそも宇宙飛行士ではない私が月の土地を購入したところで、その場所に実際に行けるわけがないのです。意味のない無駄な買い物とも言えますが、浪漫を買ったと思えば後悔はありません。
人生に必要な買い物ではありませんが、人生に彩りを与えてくれる買い物ではありました。

地球から月へ

約38万4,400㎞。
これは地球から月までの直線距離の平均値と言われています。大きな数字ということは分かりますが、なかなか想像するのが難しいですよね。とにかく途方もない旅路だということだけは分かります。
そんな遠い遠い場所に、見上げることしかできないような場所に、私の居場所がある。そう考えると、毎晩月を眺めるのが楽しみになりました。
人類が再び月へ到達し、灰色の世界に生活の基盤を築き、いつか地球と月を自由に行き来できるような時代が訪れた時。私はもうこの世にはいないのかもしれませんが、私の名を刻んだ土地が、名前も知らない誰かの居場所になるのなら。
それはとても素晴らしいことだと思うのです。

最後に
一見必要のないことに思えても、人生を少しだけ楽しくしてくれるものはたくさんあります。私の場合、それが月の土地でした。
月の土地以外にも、インターネットには世界中の珍しい商品やサービスが溢れています。
もしかすると皆さんも、いつかインターネットのどこかで、自分だけの浪漫と出会える日が来るかもしれませんね。
<エッセイ>

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