
最近になって、ようやく「魚を捌く」という技術が確かなものになってきました。
技術としてはまだまだ未熟であるものの、捌けば捌くだけ技術が上がるものだと実感しています。最近では、スーパーの鮮魚コーナーを見るのも楽しくなり、その日水揚げされた魚も、購入の対象に含めるようになりました。
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思えば、私にとって魚を捌くという行為は、父の背中の向こう側にあるものでした。
今でも休日になれば釣りへ出かけ、クーラーボックスとともに笑顔で帰宅し、そのまま当たり前のようにキッチンへ向かう父。魚を捌く父の姿を見るのが好きで、どこか“イベント”のように感じられたあの時間。そんな父の姿を、子供の頃は飽きもせずに眺めていたものです。
魚は父が釣って来て、父が捌き、私や家族は食べるもの。
そんな単純な図式が、幼い頃に既にできあがっていました。まさか、その捌くという行為を、自分自身がするようになるとは想像もしなかったのです。
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ある日、父が途中まで捌いた、立派なチヌ(クロダイ)を持ってきてくれました。
「内臓は取っているから、捌いてみると良いよ」
そう言いながら笑顔で渡してくれた大物。これ幸いと、捌いてみることに。当時の私が抱いたのは、魚を捌くことに対する抵抗ではなく、純粋な好奇心でした。
記憶を頼りに挑戦してみたものの、これがなかなかうまくいきません。父の動きを真似しようにも、細かい技術までは覚えていないのです。
そこで頼りにしたのが、動画投稿サイトの“料理系チャンネル”でした。
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検索ボックスに入力した「クロ 捌き方」「チヌ 三枚おろし」というワードたち。
素直すぎる検索語に気恥ずかしさを覚えつつ動画を探すと、たくさんの動画が並ぶではありませんか。動画はどれも親切で分かりやすく、「これならできそうだ」と思いながらじっくり観察し、見よう見まねで捌いてみました。
初めて挑んだ大物の三枚おろし。その骨には、身がびっしり残っていました。
父に写真を見せたところ「はじめてにしては上出来」とお墨付き。その後に行った皮引き後の写真には大笑いされてしまいましたが、そのまま美味しい粗汁と刺身になりました。
大物との格闘から半年。こだわりに好奇心が加わり、少しずつ腕が磨かれてきたのを感じます。手元で再生される動画と、記憶の中で豪快に捌く父の姿。そして自分の手が覚えていく感覚。その3つが重なるあの時間はとても贅沢で、楽しいひとときです。
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そしてこの感覚は、パソコンでも同じように訪れます。
パソコン操作も、今は動画で確認することができます。「コピー&貼り付けの方法」「関数のネスト」「アニメーションの効果の調整」「コントロールソースの設定」――検索すれば、詳しく解説されている動画がいくらでも出てきます。けれど実際にマウスを握った瞬間、一様に戸惑うのです。
クリックしたつもりなのに押せていない。
バージョンの違いでボタンが見つからない。
動画で見た通りの動きをしているつもりなのに、うまくいかない――その戸惑いは、まさに私が皮を引く時に感じた、あの感覚とよく似ています。
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結局のところ、技術は「見て覚える」だけでは身につかないものです。自分の手で触れ、失敗し、調整し、そしてゆっくりと馴染ませていくもの。
父が魚を捌きながら背中でそのことを教えてくれたように、パソコンの分野では、私自身が“手で覚える瞬間”に寄り添う役割を担っているのだと思います。
私が魚を捌けるようになり、鮮魚コーナーが楽しくなったように、パソコンもまた触れれば触れるほど、画面の向こうの世界が少しずつ身近になってきます。
分野は違えど、技術の習得は同じ。
最初は遠い世界だったものが、ある日ふと、自分の手の中に入ってくる瞬間があるのです。
そんな瞬間を一緒に味わっていけたら良いなと、魚を捌きながらしみじみと思うのです。
<エッセイ>
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